成蹊大学文化会手帖

文化会のあれこれ

<陶芸研究会><部長インタビュー>「やっただけ上手くなる感触がある」

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成蹊大学にはどんな文化会団体があるのか?

そのことを知るためには若草や新歓を始め、各部活が運営するSNSなど、様々な手段が挙げられますが、中立的で包括的な情報を得られるメディアは意外に少ないものです。

そんな皆様の疑問を解消すべく、文化会本部ではこれから全文化会所属団体の部長インタビューを行います。

第一回は陶芸研究会です。それでは、どうぞ。

 

 

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<成蹊メディアクラブ> メディアクラブの「これまで」と「これから」

 昨年度の欅祭(文化祭)で最優秀賞である学長賞を受賞し、ますます勢いに乗る新進気鋭のサークル、「成蹊メディアクラブ」。フリーペーパーの"momo"で学内での知名度を密かに上昇させつつある当団体であるが、一体彼らの目的は何であるのか? 雑誌を作ったりカフェを運営したりと自由に活動しているが、その実体はどんなものか? そもそもこのサークルはなぜ出来たのか? そこのところを前リーダーの二人に伺った。

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<成蹊メディアクラブ>「ミッカボーズコーヒー」に行ってきた!

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これはこの前カフェでいただいたグリルチキンバーガーというメニューなのですが、すごく美味しそうじゃありませんか?

実際、照り焼き風な味付けの鶏肉は味も食感も最高で、トマトと玉ねぎ、そしてバンズも相まって、鶏肉の時点で最高って言葉を使ってしまったことを後悔するぐらいに美味しかったんですよ。それに、「ああ〜口の中がまったりしてきたな〜」という時にキリッと引き締めてくれる自家製ピクルスまでついて税込700円。お財布にも優しいでしょう。

 

「え〜〜?? そんなカフェ誰がやってるの〜〜??」

 

成蹊大学には、こんなことをできるサークルがあるのです。

 その名も…

 

成蹊メディアクラブ

 

というわけで、今回は成蹊メディアクラブによる三日間限定のカフェ

  • 「ミッカボーズコーヒー」突撃レポート

と、

  • インタビュー「カフェができるまで」

の二本立ててでまいります。

 

  • 「ミッカボーズカフェ」突撃レポート

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 場所は青山、箱根二連覇も記憶に新しい某大学の近くにて、若干のアウェー感を感じながらもたどり着いたこの場所に、三日限定カフェ、「ミッカボーズコーヒー」はあります。

 

入り口の怪しさとは裏腹に、あたたかい雰囲気の内装。

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入店するとすぐに、優しいお兄さんとお姉さん(メディアクラブの成蹊生)の接客に導かれ、スムーズに座席へ。結構混んでいるな…!

 

ランチメニューはグリルチキンバーガー、野菜カレー、タコライスの三品。単品で700円、サラダやドリンクなどが選べるセットで1000円。ちなみにメニューは一部が日替わりとのこと。

駅伝選手ほどのガッツはなく青山にたどり着くだけでへとへとになっていた私は野菜カレーセットを注文。 しばし店員と雑談を楽しんでいると…

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想像以上に野菜ののったカレーが登場。これがまた美味しい! カレーはまろやかで落ち着いた味わいで、野菜本来の味を引き立てるという方向性のよう。ごぼうとカリフラワーが味だけでなく食感でも楽しませてくれました。

 

あまりの美味しさに衝撃を受けた私は、カレーを完食したのち、単品でグリルチキンバーガーを注文。

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繰り返しになりますが、最高でした。

「なんなんだ…なんなんだこの完成度は…」と、動揺していると、一般のお客様も多く入ってきて、店内はてんわわんや。しかしながら、メディアクラブメンバー持ち前のチームワークの良さのフットワークの軽さで、一般の方も満足させるに足る、きっちりとしたカフェ運営を実現していました。

 

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  • インタビュー「カフェができるまで」

カフェの運営でお忙しい中、このプロジェクトのリーダーとなった三浦さん(前会長)と小川さん(前副会長)に、「カフェができるまで」についてお話ししていただきました。(忙しい時間帯を避けてインタビューさせていただきました)

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向かって左が小川さん、右が三浦さん

インタビュアーは文化会本部の佐藤。

 

佐藤: こんにちは。このカフェやメディアクラブについてインタビューさせていただきます。よろしくお願いします!

 

三浦・小川(敬称略): よろしくお願いします!

 

佐藤: まずは、このカフェをやろうとした理由を教えていただけますか?

 

三浦: そもそも小川がカフェやりたいよねってちょいちょい言ってた

 

小川:  (笑) そもそも僕がとあるバーガーチェーンに勤めてて、皿を洗ってるんですけど、久々に就活が終わって帰ってきたら、もう周り誰も知らない人になってたんですね

でも、やっぱり、大学で仲良くなったみんなとカフェがやれたら楽しいだろうなって

みんなが仕込みとかやってるところに一緒にいて、買い出し行って帰ってきて「やってる?」みたいな(笑) そういうの楽しいなって思いまして

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佐藤: 何かを表現するためのカフェというよりは、なにかみんなと思い出作りをしたいということが念頭にあった?

 

小川: 大学最後の思い出ということもありますし、こう企画して何かやるということを下に伝えるためにも、カフェがやりたかったです。momoで精一杯だったので。

冊子とか作ったりしてそれこそ「メディア」っぽいこともやるんですが、それ以外のことも部活としてはやっていったほうがいいと思うし。

註: ("momo"とは、メディアクラブが季刊で発行しているフリーペーパー。学内はもちろん、吉祥寺を中心に様々な場所を新たな切り口で特集しており、充実した内容となっている。)

 

 

佐藤: ありがとうございました。次の質問なのですが、このカフェの売りというか、特徴はどんなところでしょう?

 

小川: 多分、想像してるより、おいしい(笑)

三浦: (笑)

 

小川: 絶品とは言わないけれど、想像しているより、間違いなく、ちょっとは美味しい。

 

佐藤: 失礼かもしれませんが、本当に美味しくて、少しだけおどろいてしまいました

(筆者はカレーセットに加えてチキンバーガーもいただきました)

 

三浦: 僕も昨日、準備の日に改めてメニューを食べたんですけど、本当に美味しくて、実際にこういうのが店で出るんだなって思うと、「おお すごいじゃん」って思いましたね。なんだろうね 良い意味で、ギャップを味わえるよね。

 

小川: あとは、カフェのコンセプトを決めきらない方向にしました。

 

三浦: そうそう。カフェを通して何かを表現しようとかではなくて、カフェ運営するということそのものに力を入れました。

 

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小川: メディアクラブからたくさんの部員が参加してもらってるので、テーマをひとつに決め切っちゃうと問題がある。だから、純粋にカフェだけをやろうということになりました。

だからメニューもかなり頑張りました。なかなかハードなメニューの増やし方をね(笑)

註(おつまみは9種類プラスα ランチセットは定番一種と日替わり二種の系七種)

 

 

三浦: メニューにもみんなの意見を取り入れようと頑張りました!その結果増えてしまったんですけど(笑)

 

一同笑

 

小川: なんかピンポイントにこだわるんだったら次からでしょうかねえ。

 

三浦: 今回は、「まずやってみる!」ということでした。

 

佐藤: ありがとうございました!

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<管弦楽団> 第46回 定期演奏会

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<この記事のポイント>

  • 本格的な演奏が無料
  • 音楽に対して全くの初心者でも楽しめる選曲・パンフレットの解説
  • 煌く旋律に酔いしれること間違いなし

管弦楽団定期演奏会に行ってきました

場所は吉祥寺駅の1つとなりの荻窪駅から徒歩5分ほどにある杉並公会堂大ホール。大ホールの収容人数は約1200人とかなり大きい会場でした。
外のイルミネーションもとても素敵でした。

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今回写真は演奏前後の撮影のみのため演奏中のものはございません。ご了承ください。

クリスマスが終わり年末の大掃除などお正月に向けての準備がすすむ年明け間近の12月27日、最初は学生の演奏会にそんなに人が来るものかと疑問に思っていましたが、会場についてみると開場時間の15分前から長蛇の列が出来ていてびっくり!

期待に胸をふくらませ、いざホールの中へ

ホールの席は1階、2階ともにあっという間に満員状態。
配布されたパンフレットを見ながら開演を待ちました。パンフレットにはメンバー紹介はもちろん、詳細な楽曲解説は読んでいて飽きませんでした。

開始のチャイムが鳴り開演。黒を基調とした衣装でビシッと決めた楽団員の皆様が登場。
始まるチューニング。いよいよ始まるのだと息をのむ。始まる前まで眠そうにしていた音楽経験の全くない本部局員も興味深々になっていました。
そして1曲目から一気に引き込まれることに….

<第1曲目:喜歌劇「コウモリ」序曲/J.シュトラウス2世>
よく耳にする有名曲。曲の舞台は大晦日ということもありこの時期にぴったり。
とても迫力のある演奏でした。途中のウィンナワルツのところはパンフレットにもあった通り舞踏会で人々が愉快に踊る姿が目に浮かんだ。とても楽しい演奏についつい体もリズムを刻んでしまった。

<第2曲目:バレエ組曲眠れる森の美女」/P.チャイコフスキー
1曲目に続いてこちらも有名曲。あえて順番に演奏せず、5曲をセレクトしさらにランダムに演奏するという斬新さ。パンフレットをみながら演奏に聞き入った。次々変わる曲にここは魔女が呪いをかけているシーンだなとかここは妖精が飛んでいるシーンだとか色々な想像が浮かんできました。まるで眠りの森の美女の世界に入ったような気分。ハープの美しい音色、ヴァイオリンと管楽器のハーモニー。演奏も繊細でありとても壮大でした。

<第3曲目:交響曲第4番 ヘ短調 Op.3 6/P.チャイコフスキー
20分の休憩を挟んで約45分にも及ぶ大作。短調というと暗いイメージがありますが最初に鳴り響くホルンとファゴットのファンファーレにそんなイメージは吹き飛びました。会場いっぱいに響いたファンファーレのあとは弦楽器と管楽器が複雑に混ざり合っていて素晴らしいものでした。第三楽章では前までの楽章とは違い少し明るい印象になりピッチィカートでの演奏はきいていて楽しい気分に。疾走感溢れる演奏。次々と変わる演奏、表情…クライマックスは本当に豪快で最後まですごく楽しめました。この曲は作者チャイコフスキーが特別な人に捧げた曲なんだとか。これを贈られた夫人はとても幸せだと思いました。


筆者より・・・
休憩を含め2時間ほどの演奏会。2時間はかなり長いと思っていたが1曲が終わるたびにもう終わってしまったのかと感じ全てが終わるころには本当にあっという間の2時間ですごく満足感を得られました。『演奏会』というとどうしても固いイメージがあったが、今回の演奏会が始まった途端にそんなイメージもふっとんだとか!クラシックを全くわからない人でもパンフレットの説明もあるのでかなり楽しめる内容であったと思います。
2月には他の学校と合同で木管コンサート、6月にも演奏会があるということでそちらも楽しみです。
今度はどんな曲でどんな表情をみせてくれるのでしょうか…!!

(文責:深谷)

 

成蹊大学管弦楽団公式HPはこちらです。

<ギターソサエティー>第49回定期演奏会

〈この記事のポイント〉

  • 初心者でも行きやすいアットホームな演奏会
  • 独奏、重奏、合奏などの様々な演奏形式とバリエーション豊かな曲目
  • 伝統ある委嘱作品の演奏

     

成蹊大学ギターソサエティーの第49回定期演奏会に行ってきました!
場所は武蔵野市民文化会館。吉祥寺からはバスも出ています。成蹊大学からは直線なので行きやすいですね!

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正直私はギターも他の楽器も全然出来ないので、不安を抱えつつ会場に向かいました。
受付に行くとOB・OGの先輩方が優しく対応してくれたので、不安は一瞬で拭われ、期待でいっぱいになりました!
会場も小ホールということで、客層は近所の方や親御さん、OB・OGのみなさんなどアットホームな雰囲気でした☺️

 

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演奏中は撮影を控えて下さいとの事だったので、始まる前の雰囲気だけでも写真でお楽しみ下さい!
パイプオルガンの前に掲げられた立派な成蹊の横断幕!かっこいいですね‼︎
さてさて、お待ちかねの演奏です!

〈第1部〉
第1部は全体合奏、独奏、重奏で構成されています。
初めは全体合奏。曲は「第三の男」。ウィーンを舞台とするイギリス映画であり、その主題となった名曲だそうです。演奏を聴いたらびっくり!とても馴染みのある曲!それもそのはず、エビスビールのCMに起用されている曲でした!
吹奏楽などは聴いたことがありましたが、ギターだけの合奏は初めてだったので、圧巻でした。ギターだけでこんなにも素敵な音色になるのかとはっとしました。
合奏の後は独奏が続きます。穏やかでゆったりとした曲、明るく力強い曲、トレモロというテクニックを駆使した曲。同じギターなのに、奏者によって異なる音色を聴くことができます。
続いて重奏です。曲は「Yesterday Once More」「風の丘」。二曲目はジブリ作品『魔女の宅急便で使われた曲。ジブリ好きな私は、演奏が始まった瞬間にテンションマックスです笑!
しかしギター用にアレンジされているからなのか、知っている曲でもどこか新鮮な印象を受けました。
奏者が変わり「組曲『夏の庭』より「Farewell」」。美しいメロディと切なげな和音の響きによって、別れることの悲しさがひしひしと伝わってきました。

〈第2部〉
第2部は四重奏、フレッシュマン(1年生)合奏、卒業演奏で構成されています。
四重奏ではアイルランド民謡とタンゴが演奏されました。民謡はギターのボディを太鼓のように叩いたり、様々な技法がふんだんに散りばめられていました。タンゴでは手拍子や指鳴らし、顔を叩いたり!奏者のアクションがたくさん盛り込まれていてとても面白かったです。
フレッシュマン合奏では「ラ・クンパルシータ」と「輝く未来」(塔の上のラプンツェル』挿入歌)。なんと1年生にとってこの定期演奏会が初舞台なんだそうです!フレッシュさとかわいらしさが溢れる、1年生らしい素敵な演奏でした。
卒業演奏では「風に乗って遠くの森へ行こう」と「花は咲く」の二曲。
流石は四年生!一体感があって素人の私からも、すごいなあと感じました!
まさに四年間の集大成といえる素晴らしい演奏でした。

〈第3部〉
第3部はレギュラーによる合奏です。
曲は「戦場のメリークリスマス」「ディズニー・ファンティリュージョン!」「Alphard」の3曲です。最初の二曲は私でも知っている曲でした!👏👏しかしやはりギターで聴くといつもとは違って、とても優しくて美しい音色だなあと感じますね…
そしてそして…最後はギタソさん恒例の委嘱作品「Alphard」!
ギタソさんは毎年ギターのための曲を委嘱し、演奏するという活動をしています。その歴史はとても長く、今回の「Alphard」で50作品目になるのだとか!!✨
アルファルドとは、「孤独の星」という別名を持つ二等星のこと。作曲の阿部俊祐さんは、「真空で真っ暗な無限の空間のなか、孤独に凛と南空に咲くこの星に想いを馳せ作曲した。」と語っています。
ギターの繊細な音色とコントラバスの低くて安定した伴奏がとても美しく、夜空に輝くアルファルドを連想させてくれます。
演奏が終わると沢山の拍手が聞こえてきます。もちろん私も拍手させて頂きました!
期待に応えてくれた部員たちが演奏したアンコール曲は、松任谷由実さんの「春よ、来い」。名曲ですね。
会場は最後まで暖かい雰囲気につつまれていました☺️☺️

(筆者から)
51周年を迎えたギターソサエティさん。会場にはOB・OGと思われる方々が沢山訪れていて、歴史のある部活なんだなあ、と感じました。しかし、歴史を重んじるだけでなく、毎年委嘱作品を演奏するという挑戦を続けることで、ギター合奏界の活発化を図っています。
同じ学生としても、彼らの活動はとても誇らしく、自分ももっと行動的になろう、と思わせてくれる演奏会でした。

(文責:箱﨑)

 

演奏動画も充実しているギターソサエティー公式ブログはこちら

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<混声合唱団> 第51回定期演奏会

<この記事のポイント>

  • 現代音楽中心の演奏会。スリリングで十二分な聴きごたえ。
  • 作曲者本人による楽曲解説付き。「現代音楽」の敷居がより低く!
  • 古典に留まらない、合唱形式の表現力の幅広さを実感。

 


成蹊大学混声合唱団の第51回定期演奏会に行ってきました!

場所はトッパンホール。飯田橋駅から少し歩いたところにあります。吉祥寺駅から飯田橋駅は約25分です。中央総武線で一本。

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今回は場内写真撮影禁止ということで、会場前の写真のみとなってしまいますが、ご了承ください。

 

同合唱団は、日本の大学では珍しい、現代音楽を演奏する合唱団であるということで、どんな新しい経験が待っているのであろうと僕はこの日を楽しみにしていました。
ですが、楽しみであると同時に、不安でもありました。なぜなら、「現代音楽」って、すこし難しいのではないか…、音楽知識もなければ文脈も知らないこの素人が楽しめるのだろうか…と思っていたからです。
しかし実際足を運んでみるとどうでしょう。やはりライブで聴く音楽には録音音源よりも伝わるものがあるような気がしますし、作曲者本人による丁寧な作品解説も大変わかりやすいです。そんなこんなで、私の不安は一曲目から払拭されたのでした。

 

<第一部>無伴奏混声合唱曲集「レモンイエローの夏」
演奏会といえば演奏者達が服装をシックなドレスまたはスーツで統一しているというのがよく見られる光景ですが、まずここから裏切ってきます。舞台上に登場した演奏者の服装のカラフルさ、カジュアルさたるや。
そして始まったのは表題曲「レモンイエローの夏」。タイトル通り、爽やかでポップな曲。合唱曲というよりは、J-POPの雰囲気すら漂わせるその作品は、いきなり「合唱」という表現の幅広さを理解させてくれます。入り口で配布される歌詞カードとともに詞を味わうこともできます。続いて、「国境線」。国境線が持つ歴史、生み出してきたドラマなど、その言葉が想起させるイメージが幾重にも重なり壮大な作品となっていました。

 

<第二部>「ナンセンス感覚」「なんたるナンセンス!」
歌詞カードを覗くとそこには矛盾に満ちた歌詞がずらり。ついに、いわゆる「現代音楽」的な難解な作品が来るのかと身構えていたところ、作者が壇上へ。時折人々が抱く、「何が普通で、何が異常か?何が『意味』で、何が『無意味』か?」という問い。これは特別高尚なものではなく、誰もが抱く問いです。作者曰く、そのふとした思考が日常の延長線上にあることを意識して作曲したとのことでした。
これは私にとって、極めて衝撃的な作品でした。
例えば電子音楽などでは、同じフレーズが反復され続けること、音の高さが滑らかに変化すること、音に一定のエフェクトが掛けられるなんてことはよくありますが、これらの楽曲(とくに「ナンセンス感覚」)では、人間が生身の声でそれと同様の行為を行っていました。各パートがバラバラの言語で、バラバラの服装で、バラバラの歌詞、しかも意味のない歌詞を歌っている…しかしながら全体としては調和している。 これは極めてスリリングな体験でした。
「なんたるナンセンス!」はいわゆる「合唱曲」な定番風メロディに「ナンセンス」な歌詞をのせるという作品。こちらもまた、センスとナンセンスの関係について、考えさせる作品であったと言えます。

 

<中間休憩>
ここで15分の中間休憩。会場は第二部の作品についてざわめいていました。後にも重厚なテーマの作品が続きましたが、わたしはこの「ナンセンス」二曲が最も緊張感があったと記憶しています。意味に満ちたこの世界で、無意味は極めて異常であり、目を背けていたものであるからです。そして演奏後、このように、お互いに解釈や感想を述べ合うことで、無意味であるものに意味をつけようとしているこの行為自体が、また無意味への恐れの表出であると言えたのではないでしょうか。

 

<第三部>「千年のウズラ」
第三部では様子がガラッと変わり、合唱団全員が黒色に身を包み、ピアノ伴奏も登場。
この曲は、藤原俊成「夕されば 野辺の秋風 身にしみて 鶉(ウズラ)鳴くなり 深草の里」という900年以上前の作品を中心に展開する作品。平安貴族はウズラの鳴き声にどんな趣を感じたのか?そして、その趣は現代人に通用するか? どのようにして日本人の「ウズラ」は変化してきたか?これらを重厚に歌い上げる作品。ウズラの鳴き声が様々に表現される、「合唱」の常識が変わってしまう一曲でした。

 

<第四部>「地上の祈り ~pacem in terris~ op.150」
そして演奏会の最後を締めくくったのは、混声合唱団らしい「ミサ曲」。しかし、成蹊大学混声合唱団はただでは終わりません。作曲者曰く、従来の形でミサ曲を演奏するには、世界の宗教にまつわる状況があまりにも変わりすぎてしまったために、ただ美しさや神々しさを求めるのではなく、今、神はどのように祈られているのか…というムードを曲に反映させる必要があったとのこと。恨みに満ちているかのような低いつぶやき、悲劇的な雰囲気漂う高音、低音と高音が響き渡る伴奏。これらが重なり合い、極限状態における「祈り」が、生々しく、おどろおどろしいまでに表現された一曲でした。
息が続くギリギリまで、か細い声を限界まで出し切ることで演奏を終えた衝撃的な作品を最後に、演奏会は幕を閉じました。

 

 

(筆者から)
小中高で慣れ親しんできたものとは似て非なる、実験的演奏方法、曲、詩…。文化会団体内ではもちろん、体育会系の試合をも凌駕しうるスリリングさがここにはあります。過去を踏まえ、現代に立ち向かう…これは多くの大学生の使命でもありましょう。ですがそれは決して簡単ではなく、最先端を歩く辛さというものは計り知れないかもしれません。しかし、時代を切り拓く者としての自負を、芸術活動を通して育むという貴重な経験を混声合唱団員は手にしていると思います。

 

(文責:佐藤)