成蹊大学文化会手帖

文化会のあれこれ

<陶芸研究会><部長インタビュー>「やっただけ上手くなる感触がある」

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成蹊大学にはどんな文化会団体があるのか?

そのことを知るためには若草や新歓を始め、各部活が運営するSNSなど、様々な手段が挙げられますが、中立的で包括的な情報を得られるメディアは意外に少ないものです。

そんな皆様の疑問を解消すべく、文化会本部ではこれから全文化会所属団体の部長インタビューを行います。

第一回は陶芸研究会です。それでは、どうぞ。

 

 

 

佐藤 今日はよろしくお願い致します

河本部長(敬称略)よろしくお願い致します。

 

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河本部長

 

 

佐藤 陶芸研究会は主にどんな活動をされていますか?

 

河本 この部活は活動日が自由なので、それぞれが思い思いにやっていますね。朝からくる人もいれば、空きコマや放課後に来る人もいて、自由に陶芸をやっています。基本的には6月の学内展と11月の欅祭に向けて作品を作って、展示をしています。欅祭では作品の販売もしていますね。

 

佐藤 基本的には学内での作品発表が主になっていると。

 

河本 そうですね。ですが今度の5月にはデザインフェスタに出店します。そこでは初めて学外に出ることになります。

 

佐藤 楽しみですね笑

 

河本 ちょっとこっちはビビってるんですけど笑

 

佐藤 学外に出ようと思ったきっかけは何ですか?

 

河本 今はすごい活発に活動できていて、なかなか作品のレベルが上がってきているので、これなら外部の方々にも販売できるレベルなのではないかと思ったからです。

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これらの作品は背景の土から作られる

 

佐藤 河本さんが入部された当初よりも活発になったということですか?

 

河本 入部した時ももちろん活発でしたが、作品のレベルも段々良くなってきてるなという印象を持っています。

 

佐藤 それは素晴らしいですね。どうして良い状況に変化したのでしょう?

 

河本 この部活は先生がいないので、基本的には先輩が後輩に陶芸について教えるという形をとっています。その中で、陶芸の技術そのものや教え方のノウハウも伝承されて、洗練されてきていると感じているので、それが理由で、段々と全体のレベルが上がってきているのかと思います。

 

佐藤 その伝承された技術水準を下げない、ということも重要な事となってきますね。

 

河本 そうですね笑 どうにか頑張りたいです。

 

 

佐藤 つぎに、部活の雰囲気について聞いてもいいですか?

 

河本 この質問って難しいですよね。

 

佐藤 私としても、いつも質問しながら難しいなって思ってます笑

 

河本 どう言うべきかな…自由なので、朝七時からきてやってる部員もいますし、来る頻度も、毎日来てる部員もいれば、月1から2の部員もいます。ちょっと、文化祭の前とかは「作品みんなで作ろうね」って雰囲気になるんですが、基本的にはゆったりやっている感じですね。

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佐藤 自分の好きな時間に作りに来れるという形になってるんですね

 

河本 ですがもちろん、新入生や新しい部員に教える体制というのはしっかり整えてあります。その他は、部活終わりにご飯に行くこともあって、その時は和気藹々としていると思います。

 

佐藤 河本さん自身はどうして陶芸研究会に入部されたのですか?

 

河本 僕はもともと小学校から高校の途中までスポーツをやってきていて、大学に入ったらスポーツしながらどこか文化部に入ろうかなと思っていました。高校の時にちょっとだけ美術部にも入っていたのですが、大学でも何かものを創る部活に入ろうと思って、最初に飛び込んだのが陶芸研究会でした。そこで先輩方も朗らかに接してくれて、兼部しやすい部活体制でもあったので、入部を決めました。他にも、「ものを作る」団体をいくつか回ってみたんですが、やっぱりここの雰囲気が一番良かったんですよね。

いざ入部してみると、陶芸にのめり込んでしまって、今はここ一本です。

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佐藤 なるほど。そうして今、河本さんは部長になられたわけですが、創作や企画など、様々な形で陶芸に携わってきた中で一番感動した瞬間はどんな時ですか?

 

河本 おぉ、難しいなぁ。一つには決めきれないですね。二つあります。

ひとつ目は、文化祭でのアンケートで展示品の評判が良かった時です。その時は猫の鍋を作ったのですが、その評判が良くて、こういうのも作ってみて良かったなあと思いました。

 

佐藤 話が少しそれてしまうのですが、こういった作品っていわゆる「渋い」と言われるような陶芸作品とは違うわけですよね。

 

河本 そうですね。こういったものを僕たちは「クラフト的」と形容するのですが、人気があります。欅祭の時も三人ぐらいに「欲しい!」と直接かけて頂いて、嬉しかったです。

 

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部室にはユニークな作品も並ぶ

 

 

佐藤 もう一つのエピソードを伺ってもいいですか?

 

河本 陶芸はある技法では創作する工程の途中で貝殻が必要になります。その貝殻は近所の魚屋さんにお願いしてもらってきているのですが、ある時お礼に、渋い、魚屋に合いそうな皿を作ってプレゼントしたんですね。その時にすごく喜んでもらえたのが嬉しかったです。

陶芸は人に贈りやすいものでもあると思うので、贈ったときに喜んでもらえると、「陶芸やっててよかったな」と思いますね。

 

佐藤 次は新入生目線ですこし質問をしたいのですが、毎年、経験者はどれくらい入部しますか?

 

河本 ほぼゼロですね。ここ四年間で経験者は一人ぐらいかな。その方も今は引退されたので、今は全員がゼロからのスタートです。

 

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佐藤 例えばテレビなんかだと、少しでも気を抜くとろくろの上で作品が歪んでしまう、なんてことがよくあると思うのですが、やはり陶芸って難しいものなんでしょうか?

 

河本 まあ、簡単とはいえませんね笑 でも、陶芸は本当にゼロからなので、やっただけうまくなる感触、上達の喜びというのはすごくあると思います。

 後は先輩も全員ゼロからなので、ゼロの人に教えることに慣れています。楽しみながら上達できると思いますね。

 

佐藤 なるほど笑

 

河本 むしろ上手い人が入部してくるとこっちが困っちゃうぐらいなので笑 冗談ですけどね笑

 そして部員が教え続けて今の部活があるので、教えるノウハウについては割と蓄積されているのではないかと思っています。

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佐藤 結構お金もかかるんじゃないかというイメージがありますが…

 

河本 うちは入部金3000円で、部費は半期5000円になっています。そして作品を売ることによる収入も部費にしているので、部費については低く抑えられていると思っています。

 

佐藤 年間一万三千円ですか。それは安いですね。それで材料費など全てをまかなっているんですか?

 

河本 そうです。それに、入部金を頂くのは最初だけなので、二年目以降は年間一万円になります。それさえ払っていただければ材料や道具は全て使い放題になっています。

 

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佐藤 じゃあ沢山作品を制作したほうが得ってことですね。

 

河本 そうなりますね笑 制作して、販売して、その時にお客さんからレスポンスをいただくのですが、それがまたモチベーションになって、制作して…というサイクルができているのではないかと。

 

佐藤 粘土のなどの材料の買い付けも部活で行っていますか?

 

河本 そうですね。土もいろいろ種類があるんですが、部員の反応を見ながら好評なものを残したりしています。

 

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佐藤 それでは最後に、陶芸研究会の今後の展望についてお聞きしてもいいですか?

 

河本 陶芸っていうと渋いイメージがあると思うのですが、先ほど述べた猫の作品のようにクラフト的な作品も作る部活なんですよね。なので、みんなにもっと陶芸に親しみやすさを持ってもらいたいというのはありますね。

 陶芸研究会は名前にもある通り、「研究会」で、いわゆる「渋い」作品は結構一人でも研究できる部分があります。ですがクラフト的な、親しみやすい作品はレスポンスを見ながら作っていきたいという思いがあるので、そこはだんらんとした雰囲気で作っていきたいと思っています。

 

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河本 ですから、まず一つとしては、渋いものも、親しみやすいものも両方作ってアピールしていきたいです。

そして、自分だけのものを作る創作の楽しさに加え、陶芸を研究して上達する楽しさももっと部員が感じられるような環境づくりをしていきたいです。

 

佐藤 ありがとうございました!

 

河本 こちらこそ、ありがとうございました。

 

<編集を終えて>

 部長が「雰囲気が良い」とおっしゃっていましたが、インタビュー中も同じく陶芸研究会の部室である隣室からは笑い声と楽しそうな会話が絶えず聞こえてきていました。それがなによりも部長の言葉を証明していたと思います。形作ることはもちろん、粘土の質や釉薬などによる発展性を考えると、陶芸には奥深い世界があります。その世界の探求に、親身に、そして楽しく付き添ってくれる先輩方がこの部活にはいると思います。

 

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また、撮影には成蹊大学写真部の方々が協力してくださることになりました。

写真と文章の質をこれからも向上させるべく、努力してまいります。

(文責:佐藤未来<文化会本部>)

(写真:堀口喜平<写真部>)